※この記事は2017年4月発行の「オーガニック・キッチン通信」に掲載されたものです。
スパイス薬膳弁当は季節によってメニューが変わります。
季節ごとの体調を考えて調合したスパイスが織りなすメニューをお楽しみください。
香取薫のアーユルヴェーダ弁当、ついに完成!
「アーユルヴェーダ」って聞いたことありますか?日本ではインド式のマッサージとして知られていますが、実は5千年前からインドに伝わる伝承医学です。その教えは生活の知恵として人々の生活に根付いていて、インドのお母さんたちは季節や体調を考えながらスパイスを駆使して毎日料理を作り、家族の健康を守ってきました。
そんなインドの家庭料理がオーガニック・キッチンのお弁当として新登場♪レシピはスパイス料理研究家の香取薫さんのオリジナル。オーガニック・キッチンのこだわり野菜を使った、スパイス香るおいしい薬膳料理です。
まず最初に「食前の生姜」を食べるのがアーユルヴェーダ流。レモン汁と岩塩をふった生姜が、食事をスムーズに消化するための準備をしてくれます。
料理の先生は70人のインドのお母さん
香取 薫さんがインドのスパイス料理と出会ったのは今から約30年前。遺跡発掘のボランティアとしてインドのオリッサ州ブバネスワールに滞在したときのことです。年間通してとてもとても暑い地域で、灼熱の中での肉体労働でクタクタになる毎日だったそう。そこで毎日出された食事がインドのスパイス料理。
香取:はじめは「またカレー?」なんて思いました。でも、一口食べるとビックリするほど美味しくて…。野菜中心なのにすごく力が湧いてくるし、不思議と体調が良くなっていくんです。これは一体何なんだ?!って思いました。ボランティアの仕事は1か月程度で終わり日本に戻ったのですが、どうしてもインドの料理が忘れられませんでした。また食べたい、自分で作りたい、もうこれはインドへ習いに行くしかない!というワケで、お金を貯めてはインドへ行って料理を習うということを繰り返しました。
料理を習いに行った先は料理学校ではなく、なんとインドの一般家庭のお母さんだそう。
香取:ホームステイをして、その家庭のお母さんの味を直接伝授してもらうんです。はじめは「ヘンな日本人の女の子が来てるぞ」と村で噂になることもしょっちゅうでした。でも私は真剣に料理を習いたかったので、サリーをバッチリ着こなしてインドの家庭に馴染もうと必死でした。20年のうちに70軒以上のお宅にステイしました。
アーユルヴェーダは幸せに生きるための知恵
香取 薫さんの好奇心は止まりません。ホームステイを繰り返しながら、医学としてのアーユルヴェーダも学んだそうです。
香取:アーユルヴェーダは人が幸せに生きるための知恵なんです。野菜の取り方、スパイスの選び方や効能、それが効く体質、効かない体質、そういったことの答えが医学として確立しているんです。選ぶ食材、選ぶスパイス、すべてにきちんと理由があるんです。アーユルヴェーダ医学を学んだことで、スパイス料理への情熱もさらに深くなりました。
スパイス薬膳で内面からキレイに
香取:アーユルヴェーダでは、人が健康で幸せでいるためには「食」がもっとも大切だとしています。まさに「医食同源」。食べ物によって身体の内面から元気に、キレイになれるんです。今回新登場のお弁当「きれいな人のためのスパイス薬膳」に入っている赤い色のコロッケは、南インドでよく食べられている「ビーツ」を使っています。アーユルヴェーダでは“食べる輸血”と言われているビーツは鉄分豊富なスーパーフードで、ビーツの甘みをそのまま生かしてスパイスで風味豊かにまとめました。イモ類や豆類を食べてお腹が膨れるのを防いでくれる「ヒーング」というスパイスをはじめ、食材と気候に合わせたスパイスを使っています。※注
香取:インド料理というと「インド料理=カレー=スパイス=辛い」というイメージが強いと思いますが、実際には健康を考えて調合した「薬膳料理」なのです。今回のメニューは春の体調に合わせた「スパイス薬膳弁当」です。是非多くの人に味わっていただきアーユルヴェーダを体感していただきたいです。
※注 「スパイス薬膳・春メニュー」についての説明です。
<香取 薫プロフィール>
インド・スパイス料理研究家/料理教室「キッチンスタジオ ペイズリー」 主宰
ポリシーは日本の気候や日本人の味覚に合う健康的なスパイス使い。主宰する料理教室の生徒数はのべ2000人。2013年には日本テレビ「3分クッキング」の講師として出演。