北海道は 広い! 大きい! おいしい!
どこまでもずーっと続く有機の畑より②
北海道の中でも十勝は大規模な農業と酪農がとても盛ん。食糧自給率は驚異の1100%(カロリーベース)(※1)。日本の食卓を支えている地域です。その中でも折笠農場の農地面積は個人農家として最大級の95ha。その1/3の農地が有機JAS認証を受け、堆肥やボカシを使わない「自然栽培(※2)」にチャレンジしています。
安心安全の根拠
「折笠農場では、安心・安全をお客様に示すための根拠として、有機JAS認証やJGAP(※3)を取得するのは当たり前のことと考えています。作る人や食べる人のあらゆるリスクを考えて環境を整備していくのは、次世代に向けて私たちがやらなければならないことです。」と折笠さん。これからは個人農家もきちんと認証を受けて経営する時代なのかもしれません。
おいしさの根拠
何が「おいしい」のか、感じ方は人それぞれ。だからこそお客様の声に耳を傾ける必要があります。折笠さんのおいしさの探求は品種試験から始まります。毎年約40種類の品種を試験栽培し、その中から有機栽培に向くおいしい品種を選びます。さらに試食会を開き、アンケート結果をデータ化し、細かく分析します。
「おいしさを聞かれたときに、『有機だからおいしい』とか『北海道だからおいしい』と答えるのは、売る側が価値観を押し付けているだけだと思います。私は自信を持って『これはおいしい』と言いたい。そのための根拠が欲しいのです。」と話す折笠さん。ただアンケートを取るだけではありません。試食した人の表情を観察したり、思わず出た言葉を聞き逃さないようにするのがポイント。アンケート用紙の「おいしい」という言葉の裏にある、食べた人の驚きや迷い、喜びなどの感情を感じとることが、本当の「おいしい」を見つける近道なのだそう。
おいしくて力強いじゃがいも「さやあかね」
そんな中、折笠農場を代表するじゃがいもが誕生しました。北見農業試験場が有機栽培に適した品種として作った「北育8号」を折笠農場で3年間試験栽培をしたところ、見事に実をつけました。そして、おいしいかどうかを検証するために広くアンケート調査を実施。その結果、ある生協で5段階評価で4.3という高い評価になったことを受け、平成17年に「さやあかね」という名前で品種登録されました。ほくほくとした優しい風味と甘みがあり、とてもおいしいと大好評。十勝の風土で自然の力だけで育つ「さやあかね」は折笠農場の看板娘になりました。
大規模ならではの可能性
~十勝がたった1割変わるだけで、北海道が大きく変わる~
地平線まで広がる広大な畑。さぞかし人手が必要なのかと思いきや、「ここの農作業は機械による効率化が大事。コストも時間もかかるから、できるだけ人の手は入れません。」ときっぱり。これまでにお会いした有機農家さんからいつも「手間暇かけて畑を手入れしています」と聞いてきましたが、ここではまったく逆なのです。徹底的な機械化でコストを下げることができる大規模農業こそ、有機農業の発展のカギかもしれません。
「北海道の農地面積は63.8万ha。そのうち有機JAS認証の農地面積は約0.4%の2500ha。ここ十勝地区全農家約6000戸の農地面積は約25万ha。十勝のたった1割の農家が、自分の土地の1割の農地を有機に切り替えれば、北海道の有機の畑はあっという間に2倍になるんです。十勝なら有機の畑をもっと広げることができるはずです。」と熱く語る折笠さん。北海道では今まさに有機への“再開拓”が進んでいます。