日本一の梅の里を訪ねて①
オーガニック・キッチンのお弁当にちょこんとのっている小梅の梅干し。「昔ながらの味がする」と、密かな人気者です。この小梅干しを作っている芝田商店は、和歌山県田辺市で120年も前から代々梅干しを作り続けている老舗です。
梅干しひとすじ120年!
和歌山県のみなべ・田辺地域は南高梅発祥の地。日本の生産量の50%以上の梅がこの地域で生産され、人口の70%が梅従事者という、まさに「日本一の梅の里」です。その名のとおり、みなべインターを降りると、どこを見ても梅、梅、梅…。梅の木だらけの光景に驚かされます。一面に広がる大きな梅畑はもちろん、民家の建物の間の狭い場所にも梅の木が植えられています。インターから車で約15分。山の中腹にある芝田商店へ向かう道中もずっと梅畑が続きます。
「もともとこの地域は平らな土地が少なく、畑作に向かないやせ地でした。江戸時代、山の傾斜地でも育つ梅の栽培を田辺藩主が推奨したことが『日本一の梅の里』のはじまりです。」とお話して下さったのは代表の芝田和明さん。梅農家として梅を育てながら、近隣の農家から集められた梅で、添加物を一切使わずに梅干しを作る“梅干しメーカー”でもある芝田商店。仕入れる梅も誰がどんな風に作っているのかをしっかり確認し、時には栽培の指導もしているそうです。
小さな一粒、大きな想い
「一般的な梅干しの8割は中国産の梅です。人気の減塩梅干しは日持ちがしないため、保存料などの添加物を使っていることがほとんどです。ウチの梅干しは100%和歌山産に良質な岩塩と和歌山産のお酢、四国産のシソ、というシンプルな材料と伝統的な製法で作っています。健康に良いと注目されている梅干しに、健康に良くない添加物を使っては意味がないですからね。」と胸を張る芝田さん。「食べた人に喜んでもらいたい」という思いから、添加物を一切使わずに昔ながらの作り方にこだわっています。
おいしい梅干しをお届けします
この地域で採れる小梅は肉厚で柔らかいので、カリカリ梅よりも梅干しに適しているのだそう。「お弁当を通して、私の梅干しをたくさんの人に楽しんでもらえて嬉しいです。これからも、おいしい梅干しをお届けします。」と、穏やかに微笑む芝田さん。小さな一粒に詰まった梅の歴史と作り手の想い…。是非味わってくださいね。