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オーガニック・キッチン通信 調味料を選ぶ
2017年9月号

七福醸造株式会社

白醤油を選ぶ

2017-08-3.jpg 琥珀色の白醤油
2017-08-3.jpg 琥珀色の白醤油

オーガニックキッチンの3つのこだわりは「おいしい野菜」、「おいしいお米」、そして「おいしい調味料」。これまで当コーナーで野菜やお米の農家さんをご紹介してきましたが、今回は調味料メーカーをご紹介!

 

琥珀色のこだわり醤油~七福醸造の「有機白醤油」~

キャプション 大型バスが何台も駐車できる広い駐車場

愛知県碧南市の七福醸造が作る「有機白醤油」は、日本で唯一有機認証を取得している白醤油です。関東ではあまり馴染みのない白醤油。小麦を主原料とした琥珀色の醤油で、江戸時代後期に愛知県碧南市で生まれたと言われています。飽きのこない上品ななうまみが特徴で、食材の色を生かしたい時にとても便利です。「野菜ごろっと弁当」では、『青菜の白醤油あえ』や『根菜の白醤油あん』などに使用しています。

 訪問して最初に目に飛び込んできたのが広い駐車スペース。「多くの人が当社の工場見学にいらっしゃるんですよ。昨年は大型バスで、年間3万人もの人が遊びに来てくれました」と、工場長の鈴木さん。七福醸造の工場は「ありがとうの里」として観光客を迎えるだけではなく、毎年7月29日(しちふく)を「白だしの日」とし、毎年この広い駐車場でお祭りを催し、近隣住民に楽しんでいただいているそうです。

 

キャプション 大型バスが何台も駐車できる広い駐車場

世界中の子ども・子孫にとって「よいことかどうか」

キャプション 熟成タンクの中で醗酵中。通常は2か月のところ、ここでは6ヶ月間じっくりと熟成させます
キャプション 熟成タンクの中で醗酵中。通常は2か月のところ、ここでは6ヶ月間じっくりと熟成させます

オーガニックキッチン 浦(以下、浦):白醤油を有機で作っているのは、日本で唯一七福醸造さんのみですよね。どうして有機で作ろうと考えたのですか?

七福醸造 鈴木(以下、鈴木):今から約20年前、環境破壊や食の安全が社会問題になりはじめたことが、開発のきっかけになりました。当時、二代目の犬塚社長(現会長)が、自分たちの工場そのものが環境に負担をかけていることに心を痛め、工場を閉鎖した方が良いのではないか、とまで考えました。しかし、それでは問題の解決にならないことに気づき、これまでの生産活動による環境への負担をどれだけ減らし補うことができるか、ということに徹底的に取り組むことになったのです。

浦:工場閉鎖を考えるほど、環境問題に対して真剣だったのですね。

鈴木:はい。でも閉鎖ではなく、環境問題に真剣に取り組むことこそ、これからの企業に必要な姿勢だと考えたのです。そして、「子供たちに安心できるものを食べさせたい」という強い想いから、社内で何か物事を決める時の判断基準は、「それが世界中の子供・子孫にとってよいことかどうか」となりました。

浦:なるほど。環境のこと、子供たちのことを考えて取り組んでいるのは私たちもそうですし、今取引している農家さんも、みな想いは同じです。

鈴木:そして15年前、安全でおいしいものを届けたいという想いを形にするために、当社がそれまで製造していた白醤油を有機に切り替えることになったのです。でも、原材料費が跳ね上がり、価格が3倍に。それまでごひいきにして下さっていたお客様のほとんどが離れていってしまいました。発注が激減し、当時白醤油の製造担当だった私は3か月仕事がないという状況に…。とても不安でしたね。正直、有機に切り替えたのは間違いだったのではないかと。でも、その時に犬塚会長の環境保全に対する熱い想いを聞き『これで良いんだ』と思えるようになりました。その後、こだわりの料亭などからの注文が徐々に増え、現在では、有機に切り替える前の売り上げに戻りました。

浦:いつも私たちが使っている「有機白醤油」には、このようなドラマがあったのですね。ここ数年、“食の安全”についての理解が広がっていると実感しています。私たちはこれからも本当に安心できるものを作り続ける必要がありますね。

 

ユニークな研修やイベントが盛りだくさん

キャプション 7/29(しちふくの日)の「白だしの日まつり」の様子
キャプション 7/29(しちふくの日)の「白だしの日まつり」の様子

鈴木:実はウチの会社はすごく変わっていて、『ものづくりは人づくり』という会長のモットーのもと、『毎朝1時間の環境整備』、『100㎞歩け歩け大会』など、とってもユニークな研修や取組みがたくさんあります。『100㎞歩け歩け大会』はその名の通り、1日夜通しで100㎞を歩くというイベントです。最初の50㎞までは楽しいのですが、そのあと、80㎞までが本当に苦しくて辛い…。でもそこを乗り越えてゴールできたときの大きな感動と達成感が、仕事をする上でも役に立つ…と、他の企業も研修として一緒に参加するようになりました。今では1500人もの人が参加する恒例の大イベントなっています。ほかにも“ゴミ拾い”ならぬ“徳拾い”や、地域の環境美化活動など、醤油づくりの仕事以外にもいろいろあって、毎日本当に忙しいですよ。

浦:「子供たちに本当に安心できるものを」という想いが、商品を作るだけではなく、人づくり、地域貢献などすべてに通じているのですね。

鈴木:企業として利益を出すことは大切ですが、私たちは、もっと大切なことに取り組んでいるという自負があります。これからもいろいろなアイディアで貢献したいと思っています。

素晴らしい調味料を作っているだけでなく、さまざまな活動で地域に根差している七福醸造。『野菜ごろっと弁当』に使用している調味料ひとつにも生産者の大きな想いが詰まっているということに、改めて気づかされました。七福醸造の想いと一緒に是非お弁当を召し上がってくださいね。

 

 
 
 
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