野菜の声をきく人から、幸せのおすそわけ
千葉県長生郡一宮町。九十九里浜からほど近いところに「さいのね畑」があります。ちょっと変わった名前ですが、漢字を当てはめると『菜の音』だそう。「野菜たちが発しているメッセージに耳を傾けながら、おいしい野菜を育てていきたいという思いからです。」とおっしゃるのは代表の竹川英識さん。農薬や化学肥料を使わずに、野菜たちの声を聴きながら育てています。
やさいのこえをきく
今年の5月にさいのね畑を訪れた時には、スナップエンドウの収穫がピークを迎えていました。「スナップエンドウは本当に収穫時期が限られているから、1日でも無駄にできません。翌日になったら味が変わっちゃうんですよ。時間との勝負です」と英識さん。日ごとに成長する“さや”の厚み具合を見定め、いちばんおいしいタイミングを逃さずに収穫するそうです。
しあわせを届けたい
農業を始める前はクラブのDJやバーテンダーをしていたという英識さん。お客さんだった麻衣子さんとお付き合いをするようになり、次第に二人の将来を考えるようになったそう。「それまで好き勝手に生きてきました。サラリーマンも経験しましたが、やっぱり自分は太陽の日差しをあび、風を感じながら自然の中でできる仕事がしたいと思いました。」と英識さん。麻衣子さんも大賛成。「知り合いの農家から送ってもらった有機野菜が本当においしくて、食べると幸せな気持ちになったんです。こんな風に幸せを届けられる仕事って素敵だなって思っていました。だから、農業は大賛成!」と麻衣子さん。就農に向けて、二人三脚で準備をスタートさせたそうです。
ビジネスとしての農業
「ただ野菜が作れるようになっただけでは食べていけない。しっかりビジネスとして成立させないといけないんです。」有機農業の先輩たちの厳しい現実を目の当たりにし、自分たちがきちんと独り立ちするための方法を模索し続ける日々だったそう。新規就農してから5年目、ようやく軌道にのせることができました。成功の秘訣は何ですか?という質問に、「秘訣というより、『自分たちがやってきた事』になりますが…」と教えてくれました。
①がむしゃら! 「就農3年目くらいまでは週7で働きました。働く時間が長ければ、こなせる仕事量も多くなる。失敗してもやり直せる時間があります。『野菜がダメになった?じゃあその分また働いちゃおうぜ~♪』みたいな…」。とにかく時間のある限り、無我夢中で野菜づくりを楽しむお二人です。
②発信! 「自分たちのことを知ってもらうためにHPやブログ、SNSでの情報発信には力を入れています」。美大卒という奥様の麻衣子さん。センスの良い写真と文章で、さいのね畑での日々の暮らしを綴っています。
③技術! 「農薬や化学肥料を使わない農業についての論理的な技術を大切にしています。技術が確立すれば、後輩たちに伝えることができ、確実に広げることができます」と英識さん。畑はとてものどかな光景ですが、野菜たちの成長の過程は、実は(不作などのリスクも含めて)とても緻密に計算されています。
↑麻衣子さんのフェイスブックより。とれたての野菜や手作り料理の写真も本当においしそう。「食べてみたい!」と食欲をそそられます
新スタイル?!ラップを奏でる農家
「軌道にのってきた5年目という節目の時に、おもしろいことをしようと思いました。当時の研修生に元ギタリストがいて、元DJの私と音楽で意気投合!頑張ってきた記念と、支えて下さったみなさんへの感謝を込めて、さいのね畑のミュージックビデオを作ろう!と盛り上がりました。自分たちの記念撮影&打ち上げ花火みたいなものです。」と英識さん。撮影にはさいのね畑の顧客のみなさんも参加し、クールでアットホーム、そして幸せがいっぱい詰まったビデオに仕上がっています。これを見れば「野菜ごろっと弁当」のおいしさが倍増すること間違いなし?!
→さいのねIN DA FARMのミュージックビデオはこちら
新規就農を応援
さいのね畑では研修生を受け入れて新規就農の手伝いをしています。野菜づくりだけでなく、資金繰りや売るためのスキルなど、オーガニック農業をビジネスとして成立させるためのノウハウを伝授し、これまでに4名が巣立っていきました。「農薬や化学肥料を使わない農業が日本でしっかりと根付くよう、就農へのサポートは惜しみません。ホンキで協力します。」と英識さん。何ともカッコよくて頼もしい農業実業家です。
日々野菜の声をききながら、心から農業を楽しんでいるお二人。さいのね畑から届く“幸せのおすそわけ”のおいしい野菜は、夏の間ほぼ毎日「野菜ごろっと弁当」に入ります。是非「さいのね IN DA FARM」をBGMに、ハッピーなランチタイムをお過ごしください。