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オーガニック・キッチン通信 作る人の想いも一緒に「いただきます」
2017年2月号

後藤商店

小さな漬物の大きなこだわり

キャプション 野菜ごろっと弁当になくてはならない存在の赤かぶ漬け。お客様からのお問い合わせも多く、人気の名脇役

野菜を塩や酢、こうじや酒粕などで漬け込み、醗酵することで特有の旨みが生まれる漬物。冬の間の保存食として日本各地それぞれの家庭で作られてきました。

最近ではスーパーなどでも気軽に買えますが、店頭に並ぶ漬物のパッケージの裏をじっくり見たことがありますか?例えばよくあるキレイな黄色の沢庵だと、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、乳酸、ポリリン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、グアーガム、黄色4号、赤色3号…実に多くの添加物が使われています。醗酵させて作るのではなく、これらが添加された調味液につけただけの大根…これでは「漬物」と言えません。

『野菜ごろっと弁当』に入っている赤かぶ漬けの原材料は、塩と砂糖とお酢のみ!じっくり漬け込むことで生まれる旨みがなんとも言えない味わいです。今回はこの赤かぶ漬けを作っている山形県米沢市の「後藤商店」さんに伺いました。

キャプション 野菜ごろっと弁当になくてはならない存在の赤かぶ漬け。お客様からのお問い合わせも多く、人気の名脇役

昔ながらの家庭の味をそのままに

キャプション 後藤商店のスタッフは全部で4名。一番右は後藤さん。一番左は奥様

後藤商店は1955年創業。3代目の後藤喜彦さんは現在39才。中学生と小学生、3人のお子さんのパパでもあります。
冬が厳しい山形では古くから保存食としてさまざまな漬物が作られてきました。そんな山形の家庭の味を多くの人に伝えたいという思いで始められたそうです。

「添加物を使えば保存期間を長くしたり、色がキレイになるから、『売る』には好都合。だけど、味にこだわると、昔ながらの作り方が一番なんですよ」と後藤さん。そんな後藤さんのもとにはいろいろな添加物業者の営業マンが訪れるそうです。

「一応勉強のつもりで話は聞くんです。実は、もらったサンプルを試しに使ったこともあるんですよ。山形名産サクランボの漬物がどうしても茶色っぽくなるから…。結果は確かにキレイな赤い色になりました。でも食べてみたら、どうにも薬の味がしたんです。この薬の味をごまかすために、さらに添加物を加え、どんどん味が濃くなる…。うちがこだわってきたのは「味」だから、これは違うと思ったんです。」

山形の家庭の味、昔ながらの味にこだわっていたからこそ、添加物に頼るという選択肢は自然になくなったそうです。

キャプション 後藤商店のスタッフは全部で4名。一番右は後藤さん。一番左は奥様

赤かぶ漬けができるまで

akakabu_img_nama.jpg 庄内産の立派な赤かぶ
akakabu_img_nama.jpg 庄内産の立派な赤かぶ

赤かぶは山形庄内地方の特産品。収穫時期の10月~12月になると契約農家さんの畑から、土がついたままの新鮮な赤かぶが届きます。


「機械を使うのは最初に野菜を洗う時だけです。あとの工程ははすべて手作業なんです。洗浄機に通した後、汚れのチェックをしながら今度は手洗い。これが結構キツイ作業なんですよ。」と後藤さん。冬場、冷たい水で行う洗浄作業は大変な負担のかかる作業だそう。

下漬けはたっぷりの塩で2晩漬け込みます。本漬けに使うのは酢と砂糖だけで作った甘酢。お酢と反応して赤かぶの表面の色が甘酢に一旦移り、漬け込むことでかぶの内部まで色が入るのだそう。1~2か月じっくり漬けてやっと食べられるようになります。

本当の漬物のおいしさを

DSC_2384.jpg 丁寧にひとつひとつカット

「昔ながらの味は頑固に守りつつ、新しいことにも取り組んでいきたいです。」とおっしゃる後藤さん。HPを整備したり、新商品の開発にも積極的に取り組むことで、より多くの人に本当の漬物のおいしさを知って欲しいそうです。

オーガニック・キッチンでは、単なるお弁当の箸休めではなく立派な副菜として、本物の漬物を多くの人に食べていただきたいと考えています。お弁当にいつも入っている後藤商店の赤かぶ漬け。しっかり噛みしめて、おいしさを味わってくださいね。

DSC_2384.jpg 丁寧にひとつひとつカット
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